【目的】
サルナシは「こくわ」または「ベビーキウイ」とも呼ばれ、キウイフルーツの原種である。サルナシは大変栄養価が高く、古くから疲労回復、強壮、整腸、補血などの効果があると言われている。また近年サルナシの成分であるPG102にはIgE抗体を減少させると報告されている。今回我々はサルナシが、花粉症をはじめとするI型アレルギーの反応を抑制するするのではないかと考え、以下の検討を行なった。
【方法】
被験物質として越後妻有、十日町で育ったマタタビ科サルナシ(Actinidia arguta)を使用した。
それを粉末にした後、蒸留水に溶解し懸濁液を作製した。また実験動物としてBALB/c系雄性マウス5週齢を用いた。I型アレルギーのモデルマウスは、BALB/cマウスに卵白アルブミン(OVA)1mgと水酸化アルミニウムゲル40mgの腹腔内投与を初回1次免疫日と5日後と14日後の3回行い、21日目からはOVA40mgを7日間連日点鼻を行い作製した。その後、感作対照群とサルナシ投与群に分け、感作対照群とと無感作対照群には蒸留水を、サルナシ投与群にはサルナシ懸濁液を7日間の毎日、マウス用経口ゾンデを用いて強制経口投与した。
2次免疫日後と投与7日後の点鼻後、5分間ビデオカメラで撮影し、”くしゃみ”と”鼻掻き”の回数を観察し、比較した。また眼窩静脈叢から採血した血液を遠心して血清を分離し血清総IgE(総IgE】濃度をELISA法で測定した。
【結果】
I型アレルギーモデルマウスを用いた試験で、感作対照群と比較し、サルナシの1週間の摂取によって鼻症状であるくしゃみと鼻掻きの回数や血清IgEを有意に抑制することができた。
【考察】
以上の結果から、サルナシの摂取により花粉症をはじめとするI形アレルギーの反応を抑制する可能性が示唆される。